またもや仕事の話を

いま、いくつかの案件で、著名クリエイターとお仕事をさせてもらっていて。
「著名クリエイター」って響きがとても安っぽくて申し訳ないくらい、凄い方々。

そのうちのあるお方より、企画の全貌が可視化された構成がひと晩でチームにシェアされ、感動のあまりいろいろ思いを巡らせた朝のTweetです。

 

→ 凄い人との仕事って、改めて基本的なことに立ち返らせてくれます。

→ 僕が用意しなきゃいけないものを思いつくことはあっても、
  実際に用意してくれるのはデザイナーやディベロッパーです。
  今日もありがとうございます。

→ ホント、ねぇ。
  届けたいメッセージを磨くだけじゃなく、送信フォームとか、
  エラー画面とか、スパム対策とかも同時に考えなきゃいけないとか、
  まさに芋づる式に問題が出てくる。

→ 体力で片付けるよりは、責任感かもしれません。
  あるいは「好き」が呼び起こすパワーかも。
  「なんでこんなめんどくさい仕事続けてんだろ」
  と笑いながら話す某CDがいました。

 

ここから、急にPerfumeやももクロのドームLIVEと関連づけるところが早朝。

→ ジャニーズの宙づり演出が分かりやすい例だと思います。
  遠くの観客も彼らの汗を浴びるかもしれない期待感。3階席に近づく多幸感。

→ 滝沢秀明クンの宙づりからしたたり落ちる汗を「滝汁」と言うそうです。

→ これが言いたいがゆえのLIVE話だったんだな。

 

まだまだ精進せねば。

時には仕事の話を

妻から「あなたって、仕事何してんの?」とか、「旦那さんは何をされているの?って聞かれても、よく知らないんです、って答えてる」とよく言われます。

「インタラクティブ プランナー」を7年以上やってきて僕の奥さんは僕の仕事に触れたことがない。届いていない(ちなみにTwitterもFacebookもやってない、とはいえネットはいつもiPadで見てる)。「このバナーのコピー、俺が書いたんだよ」と言っても「へー、邪魔だね」としか言われない。ま、実際、バナーって邪魔ですよね。

悲しいことではありますが、届かないところもあるんだ、その生き証人が目の前にこうして居ると自覚できることが自分にとってはいいことだ、と言い聞かせています(それと職種を理解されないことは別問題だとも思いますが)。

ただ、もうちょっと知ってほしい。
ちょうど会社のショーリールが公開されたのでご紹介します for my wife。

 

 

昨年8月に入社した僕の仕事も2つばかし入ってます。

そういえば先日、このムービーの中でも紹介されているユニコーンの『Feel So Moon』が、カンヌの前哨戦とも言われるアジア最大の広告祭 Adfest2013のインタラクティブ部門でGold、プロモ部門でBronzeを受賞。ホンダ『Face Boom!』はアウトドア部門でBronzeとファイナリストを受賞しました(関係者のみなさん、おめでとうございます)。

こういうものを作ってるんです、日々。

「よく分かんないけど、あなたが楽しいんなら、いいんじゃない?」

お、おう。

いつか、この人から「これ見て!」と差し出されるものが自分の手掛けた仕事になったら、と夢想します。

PROMETHEUS UI

まだ観ていない映画ですが。

 

『エイリアン』のリドリー・スコット監督が描いたSF映画『プロメテウス』のUIにフィーチャーした動画。なんだか分かんないけど、かっこいいなぁ。

 

こちらはゲーム『コール オブ デューティ Black Ops 2』のUI。

 

ドラマ『24』やスパイ映画でも同様の画面を見かけますが、現実の世界に下りてこないのは、せわしないUIに人間が追いつけないからでしょうか。

関連リンク:アイアンマンで映画の中のインターフェースについて考えてみた。

クラウド アトラス

映画『クラウド アトラス』を観た。

 

 

一切の前情報なしに映画館のシートに座ると、19世紀から24世紀までの過去・現在・未来をめまぐるしく行き来する6つの物語が繰り広げられた172分間。ピクニックだと思って出かけたら本格的な登山だった‥‥というくらいに体力を消耗したけど、気づけば眼前にいい眺めが広がっていた、みたいな。面白かったです。今のところ今年No.1。

公式サイトに紹介されていたシノプシスがこの映画をずばり言い当てていたので(そりゃそーだ)、そのまま紹介。

 

国や人種、性別の境界線を超えた人間の本質を表現するために、同じ魂を持つ複数の人物を一人で演じるという、俳優の真の実力が問われる大胆かつ画期的なキャスティングが実行された。

トム・ハンクスに続き、
この挑戦を受けて立ったのは、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、
ジム・ブロードベントら、アカデミー賞受賞の演技派スターたち。
さらにヒュー・グラント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ベン・ウィショー、韓国が誇る若手女優ペ・ドゥナなど、国際色豊かな豪華キャストが心と力を合わせ、壮大な叙事詩を紡ぎ出した。

ヒューマンドラマ、近未来SF、
アクション、ミステリー、ラブストーリー

—— いま『クラウド アトラス』の称号のもと、
全てのジャンルがひとつになり、
かつてないエンターテインメントを生みだした。
そして映画というジャンルさえも軽々と跳び越えて、
観る者の魂にダイレクトにつながるのは、
「私たちは何のために生きているのか?」という、
人類の永遠の疑問への答え。

天才監督と豪華キャストの手で、
いま、人生の謎が、解けようとしている ——

 

はい、というわけで、この映画は手塚治虫の『火の鳥』だな、と思いました。
(人によっては『マグノリア』だと言う人もいるかもしれません)

「同じ魂を持つ複数の人物を一人で演じるという、大胆かつ画期的なキャスティング」も、ヒゲ親父が時代や設定を超えていくつもの役を一人でこなしていたりと、手塚漫画ではよく見る光景です。配役によってはかなりギャグに走ってるものもあって、それも狙いだと思いますが、いったいどこを狙ってんだ?とつっこみたくなる要素を入れちゃうあたりも、手塚治虫的な遊びだなぁと思ったりするのです。もっと意味のある演出意図があるのかもしれませんが、もしあったら知りたいなぁ。

また、「6つの物語が交錯する壮大な叙事詩」のようで、直接的には交錯していなかったり、6つ全部が壮大じゃなかったり(2012年パートがいちばんしょぼい)とチャーミングなところもある。観終わってみると、むしろこのアンバランスさ、チャーミングさがこの映画の旨味じゃないか?と思えてきます。

歴史に残る壮大なことや、そうでないこと。その両面を同じ役者、共通のセリフ、あと忘れそうになるけど意味深な共通のあざが繋いでゆく。このあたりをチャーミングと捉えるか支離滅裂と捉えるかで賛否が分かれそうな映画ではあります。

この映画のもうひとつの魅力は、なんといってもペ・ドゥナ演じるクローン人間「ソンミ451」の圧倒的な存在感。是枝裕和監督の『空気人形』でもかなしい人形の役を完璧に演じていたけれど、今回はそれを上回る、厚みのある演技!存在が切ない。思い出すだけでも泣けてくる。

cloudatlas

壮大すぎてともすればついていくのが大変な物語(途中で帰っちゃうカップルもいました)を束ねるのは、『マトリックス』3部作のウォシャウスキー姉弟と『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァ監督。数々の映画のオマージュでできた『マトリックス』のさらにオマージュとも取れるシーンも含まれており、あの映画にハマって19にして中2病を再発させた身としてはニヤリとしてしまいます。

くどいですが、手塚治虫先生が生きていたら気に入った映画じゃないかと思います。
小学生の頃に観た『トータル・リコール』(オリジナル版)くらい変な映画。

『クラウド アトラス』公式サイト

好きです。

コピーライターの走る範囲

コピーの師匠・中村禎さんのBlog「コピーライターの未来は・・・」より抜粋。

 

レイ・イナモトさんの話にいろいろ刺激を受けました。「広告の未来は、広告ではない」「クリエーティブの階級制、職業名を取っ払ったほうがいい」「アートディレクターとコピーライターが一緒になって広告を作り出す手法は通用しないんじゃないか」「ART×CopyからART×Codeへ」と、これらの言葉だけ見ると、なんだ、もうコピーライター養成講座なんて意味ないじゃないかと思う人がいるかもしれませんね。でもレイさんは、コピーライターが不要だと言っているのではなく、コピーライターの役割が変わって来ていると言っているのだと思います。「コピーライターの未来は、コピーライターではない」と言えるのかもしれません。

(中略)

「コピーライターなんてカンタンになれる。名刺にコピーライターと刷ればいいんだから」これは、ボクの師匠の仲畑さんの言葉です。コピーライターやコミュニケーション・デザイナーなどカンタンになれる。名刺に刷ればいいんだから。そういう意味で肩書きには意味がないのだと思います。大事なのは、その人が優秀かどうか。いい人かどうか。柔軟かどうか。伝えるということをわかっているかどうか。

(中略)

コピーライターの走る範囲はどんどん広がっているのだと思います。インテルの長友のように走らなくてはいけないのです。

 

いやぁ、その通りだと思います。

タグボート岡康道(と僕)の3月14日

3月14日。TUGBOATのクリエイティブディレクター、CMプランナー・岡康道さんのエッセイ集『アイデアの直前 – タグボート岡康道の昨日・今日・明日』の刊行記念トークショーに行ってきました。

トークのお相手は、岡さんとは25年来の付き合いであるCMディレクター・中島信也さん。「とにかくこの本を売って売って売りまくる」という使命感(?)のもと、著書の中から信也さんが文章をピックアップしながらトークは進んでいきました。面白いエピソードが次から次へと出てくる中で、僕が記憶に残ったお話をメモしていきます(なので会話のようで会話形式じゃないです)。

 

岡さん:最初に中島信也さんに企画コンテを見せたときは「なんだか意味が分からない」と断られて、じゃあもうひとりの売れっ子で同じ名字の哲也(CMディレクター 中島哲也氏/映画『嫌われ松子の一生』、『告白』等の監督としても有名)の方にお願いしたんだよね。

信也さん:哲也が作ったのを見ても分かんなかった(笑)。けどいま見たら分かる。僕は奥手というか大器晩成型?成長が遅いんですよ。

 

誰からも特に何も言われない選択。
これが僕たちを取り巻く世界をつまらなくしている。
(著書より)

 

岡さん:インターネット上でのクレームとかツッコミとかがすぐ企業に飛び込んでくるようになって、クライアントは突飛な案をまず除外する。それによって僕らの仕事がずいぶん痩せてしまったと思うんです。だからそれに負けない選択をすればいいんです。誰かに何かを言われてもいいやと。…僕らがやってるダイワハウスのCMは、そういう意味でクライアントが偉いですよね。

 

広告は発信していないのではない。
発信を自ら聞こえなくしている。誰からも特に何も言われない広告をめざすために。
(著書より)

 

岡さん:発信していないというか、自滅しているんです(今の広告は)。自分で辞めているというか。クライアントがセンスがないからとかバカだからとか、そういうことは全然なくて、作り手が「メッセージはやめよう、強く伝わることは避けよう」としている。だけど広告はしなくちゃいけないから、誰からも何も言われない広告を目指すんです。誰からも何も言われない広告って、みんなが知っている人をTVに流すことなんです。だからタレントが出てきた方がいいんです。そしてヒット曲を流した方がいいんですね、かつての。決裁者が青春期を過ごした80年代90年代のヒット曲です。そうすれば誰からも何も言われない広告が出来ますよ。しかも一見メジャー感がありますよね。こうやって広告は自ら聞こえなくしているんだろうな、と思うんです。

 

広告のように不純な表現物がそんなにも健康的であることの不健康さに誰も気づかないのだろうか。(著書より)

 

岡さん:僕らは「明るく楽しいものを作れ」とよく言われるんですね。いけないのはその反対ですよね。でも広告って人に何かを売ろうとしているわけで。つまり目的が不純なんです。それが分かってるから、それをネタとして話せば不健康じゃないじゃないですか。ところが明るく楽しく爽やかに不純なことを企む人って、不健康でしょ?広告自体が健康的であろうとすること自体が病気だな、と僕は思う。逆に言えばすこし不健康な感じのある広告を作りたいんです。

 

信也さん:岡さん、けっこう不健康めのやつ、多いですよね。岡さんが企画したものってパーソナルな感覚なものが多い。それって一般的じゃない。すごく歪んでて。

 

 

つまり場違いとアイデアは一直線上に並んでいるのだ。(著書より)

 

岡さん:アイデアとはマイナーな、場違いなものなんです。それをメジャーにするのがクリエイティブディレクターやCMディレクターの仕事。だから場違いを恐れてはいけない。場の空気を読めない人っていますけど、それもある種、アイデアを言っている可能性があるんです。そういうのを打ち消していって穏やかに速やかに進行する会議って、結局なにも生み出していないことが多い。

 

‥‥というわけで、予定を1時間オーバーし、合計3時間弱にもわたる充実したトークセッションのごくごく一部を書き起こしました。ずいぶん真面目な箇所だけを抽出しましたが、現場は抱腹絶倒、笑いの絶えない3時間でした。とくに信也さんのハゲじゃなかった坊主ネタは鉄板。

「広告はもともと不純なものだ」というお話は、岡さんの電通時代の先輩であり僕の大学時代の恩師でもあるクリエイティブディレクター・小田桐昭さんが授業で仰っていた「広告は猥雑なメディアです」という言葉とリンクしました。

これはその当時(2004年頃?)の講義ノート。

note

授業では「堀井博次特集」「海外CM特集」などと銘打って数々のCMを見せて頂きました。僕がTUGBOATの作るCMのファンになったのは、その中の「岡康道特集」がきっかけでした。

 

 

アイデアの直前 —タグボート岡康道の昨日・今日・明日(Amazon)
大人(50代〜)になることが怖くなくなる、むしろちょっと楽しみになる本です。
自分はこんなにも真摯に生きられるだろうか。

関連リンク:TUGBOAT 10 Years_vol.01