CREATIVE KITCHENに行ってきました。#01

CREATIVE KITCHEN

 

銀河ライター主宰/元「広告批評」編集長の
河尻亨一さんよりお誘いメールをいただき、

『Creative Kitchen ―ヒトとテックとコトバのレシピ―』
に行ってきました。

サブタイトルは「クリエイティブ×テクノロジーの可能性、幸福な関わり方を10のプログラムを通じて考える」

 

「クリエイティブ」の「キッチン」なので、プログラムは料理、登壇者はシェフと呼ぶそうです。9月23日(金・祝日)と24日(土)の2日間にわたる多種多様な料理たちに、シェフは広告業界から出版、アートまでそうそうたる面々。そのトレビアンな全メニューを、ソムリエに扮した河尻さん(似合いすぎ)がキュレーションする形で進行されました。

 

僕は全プログラムに出たわけではないので、2日間を通して個人的に「おぉっ!」と反応した部分を中心にメモっていきます。例によって長くなるんで、プログラム単位で連載していきます。それと、記憶を辿って書くので正確性に欠ける部分があるかも。ここ違うよ!という場合は、関係者の皆さま、ご指摘ください。

 

では、MENUの1つめから。前菜と言うには高カロリーな内容でした(いい意味で)。

 

気鋭のウェブディレクターと編集者が考える。10年代のヒット論
加藤 貞顕氏(ダイヤモンド社) × 佐渡島 庸平氏(講談社) × 中村 洋基氏(PARTY)

 

加藤さんはあの『もしドラ』を売りに売った仕掛け人。佐渡島さんは『バガボンド』『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』『働きマン』など大ヒット漫画を世に送り出してきた気鋭の編集マン。1979年生まれってことは僕の1コ上!で、同じく79年生まれの中村洋基さんは元電通で今年のカンヌではサイバー部門の審査員をされたクリエイティブディレクター(先日イロイロお話ししたばかり)。遅れて入ったので、加藤さんのお話はほとんど聞き逃してしまいました‥‥。

 

加藤さん:
「ベストセラーをざっくり分けると、恋愛・青春・家族・健康・お金…の5つのうちのどれかなんです」

「もしドラを売るときに意識したことは、読者、書店、メディアの三者とも顧客であるということ。それぞれに効くプロモーションを考えることが大事。メディア向けには、ワールドカップの最中だったから海外遠征中の日本代表にごそっと献本してみたり。『なんか本が大量にあるんですけど何ですか?』って遠征先から聞かれて『チーム論についてお役立ていただければ‥‥』と(苦し紛れに)話したら『岡田監督(当時)はもう読んでますよ』と!それがきっかけになって原作者と岡田監督との雑誌上での対談に結びついたんです」

佐渡島さん:
「本は面白いだけじゃ買ってもらえない。面白いかどうかは読まないと分からないから。いかに読む前に面白いと思ってもらうかが勝負なんです」

「売れると一口に言っても、10万部売れるのと100万部売れるのとでは意味が違います。10万部は本に書かれていることが好きな人だけが買った数字。対して100万部は興味の無かった人たちも買った数字。広告とか周りのムードに流されて何となく買う人も含まれてくる。だからノイズも多くレビューされる。つまんないとか、くだらないとか。それでも伸びる作家は100万部を目指すし、それで潰れる作家だと思えば10万部の段階でプロモーションをやめます。マンガは毎週出るので長期プロモーションできるんです。その中で考えていきます」

 

Memo →
編集者は適切な売れ方の文脈をデザインし、ディレクションする。

 

佐渡島さん:
「『宇宙兄弟』の小山宙也さんの才能は、まず自分の意見があること。これがない作家は意外と多い。いちばん大事です。例えば、もともと小山さんは手書きの線に味があった。でもその味がくどすぎて、僕は『定規を使ってください』とお願いして矯正しようとした。それで小山さんは定規を使い始めたけど、細かいギザギザをわざと刻んだ定規にしてきた。そうすればたしかに直線なんだけど、微妙なゆらぎは残る。今でこそフリーハンドでも味を残したきれいな直線が描けるけれど、最初から何でも鵜呑みにする人ではなかったですね」

中村さん:
「へぇ~!!!」

佐渡島さん:
「そして、ゼロからやり直せる人。作品として合格のものを上げてきたときに、『小山さん、これ面白いけど超面白くはないですね』と漠然とした戻しをしたら、まったく違うものを再度持ってきて、ちゃんと前よりずっと面白いものになっていた。ふつうの漫画家はちょっと直すだけです。それなら『ここが限界なのかな』とこちらも引き下がる。でも彼はどんな時もゼロからやり直せる人なんです」

「あと、小山さんは編集者の『面白いですね』のニュアンスを嗅ぎ分ける。『ん~、面白いですね‥‥』だと描き直してくる。一度描き上げている時期というのは、その後の入稿やら印刷工場やら流通やら、いろんな人に影響を及ぼすウェイトが高まっている時期なんだけど、彼は最後の最後まで、いい意味で周りを気にしない。振り回されない人なんですね」

中村さん:
「面白いなぁ!『ドラゴン桜』はどうだったんですか?」

佐渡島さん:
「あれはホリエモンにダメモトで送ってみて、そしたらブログで紹介してくれたんです。その直後に2~3万部動いた。下手したらテレビの情報番組(ブランチとか)に紹介されるより動いたかもしれない。あと、自分が灘校出身だったので、先生に読んでもらって『灘校教師も読んでいる!』と帯に書いたり、友達のお父さんが京大教授だったので、読んでもらって‥‥とか(笑)」

読みやすい絵と所有したい絵は違うんです。また、所有したい絵と感情表現できる絵もまた違うんです。『ドラゴン桜』の三田紀房先生の絵はそういう意味で変わっていった(※話し合いながら、そう仕向けることも編集の仕事)。この話でいえば、例えば井上雄彦さんの絵は読みやすくて所有したくて感情表現も上手い。喜怒哀楽の幅が本当にこの4つしか描き分けられない作家というのもいますから」

中村さん:
「佐渡島さんって超エリートなんですよね。ご自身が灘校から東大出身で」

佐渡島さん:
「あのマンガは5巻までは僕の体験談を描いてるんです。僕、日本史は石ノ森章太郎先生の『日本の歴史』しか読んでませんから」

 

Memo →
編集者は作家の個性を尊重しつつ、作品のプロデュースもする。

 

終盤。佐渡島さんと加藤さんから見た中村さん像の話と、いまだ日本では花開かない電子書籍市場について。

佐渡島さん:
「中村さんがやっていることは分かりやすくて、シンプルで、見た目はカッコイイ。それってアプリも小説もマンガも実は一緒で、共通する面が非常に多い気がしている」

加藤さん:
「実は私もデジタルコンテンツをメインにしたいと考えていて、ダイヤモンド社を辞めるんです(会場:!)」

「例えば英単語帳って英語の部分を伏せて読んだり、発音記号を読み取って発音したりしますが、これもデジタル化すればエンタメにできますよね。で、今はそのプラットフォームもみんな持っている(スマホで)。紙の本よりも良くなるコンテンツがまだまだあるんです」

佐渡島さん:
「電子書籍について、Appleと話したことがあって。僕は、1個のすごいマスターピースを作れば、それによって電子書籍市場も拡がると考えていたんです。ビッグヒットが必要だと。でもAppleの人いわく、違うと。たくさんのコンテンツが揃っている方が市場を作ることになると。1つのヒットは1%のチカラしか持たないんだと言われて、なるほどなと思いました。だからまず作品が、Appleの場合だとiBooksに揃う必要があるんです」

Memo →
市場を開拓するには、ビッグヒット(質)の前にロングテールが成立する量が必要。とはいえ量を呼ぶ雪崩を起こすための質もどこかの段階で必要な気も‥‥

 

MENU1、以上です。だいぶ端折ったのでエッセンス版です。

講演後に河尻さんも仰っていましたが、漫画家と編集さんの関係性ってプランナーとクリエイティブディレクターの関係性なんだなぁ。編集者は作るところにもどんどん介入するし、送り届けるところにもあらゆる工夫を施す。ディレクションだなぁ。

「100万部売れると潰れそうな作家だと思ったら10万部売れた段階でプロモーションから手を引く」という話が印象的でした。
それと上には書きませんでしたが「自分の好きな作家とだけ仕事をしていきたいから、まず『ドラゴン桜』を売って成果を出して、自分のポジションを作った」という佐渡島さんの話も刺さりました。

 

というわけで、次回、

 

ジャパン・コンテンツの海外戦略密談。日本を導くテクノロジーとは?
猪子 寿之氏(チームラボ) × 後藤 繁雄氏(編集者)

 

とYouTubeセミナーはほとんどメモしないないので飛ばして、
(どっちも面白かったです!)

 

世界の広告はいま。今年のカンヌ100連発!
岸 勇希氏(電通) × 木村 健太郎氏(博報堂ケトル)
× 嶋 浩一郎氏(博報堂ケトル) × 樋口 景一氏(電通)

 

をメモしていきます。つづく

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